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6÷2(1+2)=?

ネットで時々話題になる計算問題6÷2(1+2)について考察してみました。

簡単な計算にも関わらず、この問題は人によって結果が異なるのが興味を引くようです。

それでは試しに計算してみましょう。最初の計算、つまり括弧から計算するまではほとんどの人は同じようです。

6÷2(1+2)=6÷2(3)

ここから計算から多くの人が間違えていているようです。みなさんは次のどちらが正しいと思いますでしょうか?

6÷2(3)=(6÷2)×3 or 6÷2(3)=6÷(2×3)

前の計算だと(6÷2)×3=3×3=9、 後の計算だと6÷(2×3)=6÷6=1になりますね。

ここで小学生の時に掛け算(積)と割り算(商)どちらを優先して計算して教わったでしょうか?

足し算(和)と引き算(差)より掛け算と割り算を優先するのはよく覚えてますが、掛け算と割り算の優先順位なんてならったかな?

もうはるか昔のことなので多くの大人は忘れてますが小学4年生の時に習っているのです。手元の本によると以下の通り。

①ふつうは、左から順に計算します。

②( )のある式は、( )の中を先に計算します。

③×や÷は、+やーより先に計算します。

ということは①の左から計算するというルールなので、(6÷2)×3=3×3=9が日本の指導要領的には正しいことになります。

めでたし、めでたし。あれ?でも待てよ左から計算するということは、たとえば問題が6×2÷3なら

6×2÷3=(6×2)÷3=12÷3=4

ですよね?この場合は×を先に計算してます。左から計算するというルールだと×÷の優先順位はないといことになります。

このことがはっきりと明示されてないことが、多くの人が6÷2(1+2)のような計算を間違える要因ではないでしょうか。

もっとこのことを掘り下げてみましょう。足し算と掛け算には結合律が成立します。たとえば

2×3×4=(2×3)×4=2×(3×4)=24

のように+×は計算順位を変えても結果は変わりませんが、ー÷はそうはいきません。ですから

12÷6÷3=(12÷6)÷2=2÷2=1

12÷6÷3=12÷(6÷3)=12÷3=4

は計算の順番を変えると結果は異なります(正解は前者の1です)。ー÷に結合律が成立しないことも見落としがちなことの一つです。

そもそも計算のルール①左から順に計算の定義が曖昧なことも混乱の原因かと思われます。

実際、大学の数学では厳密に計算の手順について定義されています。詳しいことは群論などの本を参考にして、かいつまんでいうと

差は和の逆元、÷は積の逆元として計算されて-÷は演算として意識せずに計算します。

もし計算手順について興味がある人は以下の本を参考するといいでしょう。

比較的優しい専門書として

群・環・体入門新妻 弘(著)木村 哲三 (著)

少し高度な専門書として

『代数系入門』松坂和夫(著)

上記の本はいずれも群と環の初めのセクション数ページだけ読めば、計算の手順を定義して我々がしている計算が正しいことを証明しています。もちろん、興味がわけばさらに読み進めてもいいでしょう。